自分にとっての心地よさに向き合う|kimimaro

自分にとっての心地よさに向き合う|kimimaro

「本当においしいデカフェコーヒーを届けたい」

私たちはそんな思いから、ローカルに根付くコーヒースタンドを目指しています。

地域のコミュニティ、デカフェのコーヒーを日常的に飲む方々、そして私たちメンバーの身近な方々…さまざまな「ローカル」のコミュニティに根付き、長く愛されるお店になりたい。そんな思いからこの連載をスタートしました。

本企画では、私たちにとってローカルなみなさまとともに、デカフェのある暮らしや、ひいては生活の豊かさについて考える場にしていきたいと思います。

第三回目にご登場いただくのは、ライフスタイル系YouTuberのkimimaroさんです。

会社員として働きながらYouTubeコンテンツを自ら企画・制作・編集されているkimimaroさん。YouTube制作・運営について、日々のルーティンやコーヒーとの向き合い方について伺いました。

聞き手は「de. coffee roasters」代表の古賀 裕人。
ふたりが考える「心地よい暮らし」についてお届けします。

6年間の歩みと日々のルーティン

古賀:今日はよろしくお願いします。僕自身、コロナの時にkimimaroさんのチャンネルと出会って日々の発信を拝見してたので、今回の対談を楽しみにしていました。現在は、YouTubeを中心にコンテンツを発信されていると思いますが、今に至る経緯などをお伺いできますか。

kimimaroさん(以下、敬称略):いつも見ていただいて、ありがとうございます。YouTubeを始めたのは、仕事でコンテンツマーケティングをやる機会があって。その中でいつかYouTubeも攻略しないといけないんだろうなと思っていたのがきっかけです。だったらもう自分で飛び込んでやってみるか……と始めました。

古賀:すごいですね。

kimimaro:2019年の5月1日に始めたんですけど、ちょうど平成から令和の切り替わりのタイミングだったので、新しいことを始めたいなと思ったのも1つの理由ではありますね。

古賀:僕はコロナ禍での自宅環境をどう整えるか、ルームツアーなどを見ている中で、kimimaroさんのチャンネルに出会って。同じルームツアーでも、ガジェット系とライフスタイル系では全然違って面白いなと思っています。

kimimaro:それでいうと、当時はガジェット系やライフスタイル系のYouTuberが意外と少なかったんですよね。選択肢が少ない分、到達していただいたというのもあると思っていて。その上で、自分らしさを出すとなると「あまりガジェットに寄せすぎず、ライフスタイル寄りでガジェットもやる人」くらいの温度感が自分らしいと思ったんです。

古賀:スタイルとしては、日中は普通に仕事しながら休日に撮影されているんですか。すごいですよね。絶対にできない。

kimimaro:はい。完全に週末YouTuberです。6年やっていたらもうルーティンになってくるというか……毎週末、時間をとって動画撮影して、平日の仕事終わりの数時間で編集して、翌週公開。このサイクルでずっとやっています。慣れるまでの時期もとにかく創作するのが楽しかったから、負担に感じずできてましたね。楽しくないことは続けないっていう主義なので。

古賀:YouTubeの運営以外にも、暮らしの中のルーティンってありますか?

kimimaro:朝のルーティンは決まっていて、7時頃に起きて、白湯を飲んで、近所をウォーキングしています。帰ってきたら、朝食、お風呂。そうすると体がすごく心地よい状態で1日を始められるんです。

仕事は無駄に残業しないように頑張って、仕事が終わったら自分の時間。家のことをする日もあれば、YouTubeの編集作業をすることもあります。仕事もYouTubeの作業もどちらも、ルーティンの中に組み込んで生活している感じですね。

古賀:なるほど。僕のルーティンは朝晩に子供の送り迎えをすることですね。あとはコーヒーを飲むことかな。kimimaroさんもコーヒーはお好きかと思いますが、いかがでしょうか?

kimimaro:コーヒーはもうルーティンすぎて思い浮かばなかったぐらいですね。1日4〜5杯は飲んでいます。在宅の日はもちろん、会社にもコーヒー器具を持ち込んで淹れることもありますね。オフィスで淹れるとコーヒーの香りが漂って、仕事仲間に「ドリップしてください」なんてリクエストをいただくこともあるくらいです(笑)。

一杯が変えた世界。浅煎りコーヒーとの出合い

古賀:コーヒーもYouTubeのコンテンツになっていると思うんですが、興味を持ったきっかけはありますか?

kimimaro:5年くらい前に、表参道の「KOFFEE MAMEYA」さんに初めて行った時に、浅煎りのコーヒーを飲ませていただいて。それで、一気に世界が広がったように感じたんです。

「KOFFEE MAMEYA」さんは、自分が言語化できない好みをコンサルティングしながら導き出してくれるから面白くて。「普段どういう味を飲みますか?」「好みの風味はありますか?」「どんなコーヒーを飲んでみたいですか?」などの質問をしてくれるんです。

そこからまさに好みの味を言い当てられて……その時は衝撃でした。今は家に7〜8種類の豆を置いていて、そのうち8割ぐらいは浅煎り。残りが中深煎りのものです。

古賀:コーヒーを深く嗜む方は、浅煎りを好まれる方が多い印象です。

kimimaro:豆のポテンシャルがそのままに近い形で味わえるからかな、もちろん深煎りもおいしいですけどね。浅煎りの方がバリエーションの幅広さがあるので、豆を選ぶ楽しさがあるような気がします。そこから、いろんなフレーバーの豆を選ぶようになって、どんどんハマっていきました。

古賀:「KOFFEE MAMEYA」さんで最初に選んだ豆はどんな風味でしたか?

kimimaro:ベリー系の豆でしたね。そこからシングルオリジンやスペシャルティコーヒーも実際に飲むようになって、他の豆との違いに驚きました。スペシャルティコーヒーの中にもさらにプロセスの違いで「ナチュラル」「ウォッシュド」と呼ばれるものがあって、その違いを味わい比べていくことで自分の好みがわかるようになってきた感じです。

古賀:そうなんですね。ちなみにうちのコーヒーはどうですか?

kimimaro:デカフェは今日初めて飲みましたが、おいしいですね。アイスだからかもしれないけど、普通の水出しコーヒーをいただいている感覚ですっきりと飲みやすい。もっと物足りなさがあったりするものなのかなと思ったんですが、全然そんなことないですね。

古賀:そうなんですよね。「朝はカフェインを飲みたいけど、夜はカフェインを抜きにしたい」という理由から、夜だけうちのデカフェコーヒーを飲むというお客様も多いんです。そうやって1杯分を気軽に置き換えられるところも、デカフェの価値なのかなと思っています。

kimimaro:デカフェ専門店にしたのは何か理由があるんですか?

古賀:前のオーナーさんが、カフェインが飲めないけどコーヒーが好きな方でデカフェ専門店を始められて、昨年から引き継いだんです。水天宮という土地柄、デカフェに特化して続けた方が面白みも出ると思いました。

自分を満たし、心地よく過ごす

古賀:kimimaroさんというと、コーヒーと同じくらい植物のイメージがありますよね。他にも、インテリアなどもこだわりを持ってセレクトされていると思いますが、どういう基準で選んでいるんですか?

kimimaro:植物はもう本当にコレクターに近い感じになっているかもしれないですね(笑)。ものを選ぶ基準を言語化するのは難しいんですが、あえて言うなら自分の琴線に触れるかどうかですかね。他の人はあまり気にしていないけれど「自分の生活にそれがあることが自然に思えるもの」っていうものかもしれないです。

古賀:コーヒーや植物をはじめとする身近なもので、心地よい暮らしを叶えていらっしゃるのがすごいなと思います。

kimimaro:それでいうと、なにか大きなもので満たされるということが自分の中にはあまりなくて。たとえば、コレクションしている植物に花が咲いたとか、日々の中のちょっとしたことで豊かさを感じています。

古賀:ありがとうございます。自分を意識的に心地よい方向に持っていく、みたいなことはしますか?

kimimaro:無理やり気持ちを上げなきゃという感覚はないんですけど、やっぱり「自分の機嫌は自分しか取る人がいない」というのは考えとして常にありますね。少し気持ちが落ちそうだなと思ったら、コーヒーを飲んだり植物観察をしたり……気持ちを和らげるように心がけています。あとは表に出て普段歩かない道を歩いてみるとか。そうやって自分でコントロールするようにしています。実は僕、ストレスとか全然ないんですよ。

古賀:たしかに画面越しにもそれは伝わってきます。テンションが一定ですよね。

kimimaro:そうなんですよね。コーヒーは本当に生活の中で心を落ち着かせてくれるのに役立ってると思います。コーヒー豆を選ぶ、豆を挽く、飲むだけじゃなくて、一連のプロセスに楽しみがあるじゃないですか。その10分間が気持ちを落ち着けてくれる時間だったりするんですよね。

古賀:サウナみたいな感覚ですね。

kimimaro:僕、サウナには全然行かないんですけど、でも「ととのう」っていう感覚は近いかもしれないですね。一旦いい感じに、頭を無にできるところとか。

古賀:最後に、kimimaroさんはお店もいろいろと回られていると思いますが、つい通ってしまうお店ってありますか?

kimimaro:半分は「人」かな。訪れたくなるお店っていうのは、コーヒーがおいしいとか好みの豆が揃っているところなんですよね。でも、1回行って終わりにならないお店は、やはりそこに安心できるスタッフの方がいるとか。必ずしもスタッフの人と話をしていなくても、なんか居心地がいい。というのは、あるかもしれないですね。

古賀:人含め、空間含め。

kimimaro:そうですね。人と空間ってことですね。人はやっぱり大事ですよね。

古賀:僕も「人」はもちろんですが、空間もすごく大事だなと思って。このお店は小さなコーヒースタンドだけど、いつか席がある、空間を作れるサイズのお店もできたらいいなとは思っています。自分のためにお金を使うのは別にどうでもよくて、でも事業を広げていくための資金力は持っておきたい。僕にとってはそれが一番幸せだなと思うんです。

kimimaro:夢を実現するために絶対に必要なものは何においてもあるので、自分の幸福の実現とはまた違う軸ですよね、わかります。僕もYouTubeも副業としてやっていくのがちょうどよくて。あくまで趣味の延長で、楽しみながら続けていきたいですね。

プロフィール

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kimimaro

ライフスタイル系YouTuber。YouTubeチャンネル「kimimaro」ではライフハックアイテム、ガジェット、コーヒー、植物、vlogなど多彩なジャンルのテーマを取り上げ、普段の生活をちょっと豊かにアップデートする情報を発信中。


▼過去のインタビュー記事はこちらから
地域に根付いて長く続くディカフェ専門店を目指して|大場 麻利子
誰かの暮らしに自然と溶け込む|大久保 志朗


執筆:ふじのあやこ
編集:とみこ
撮影:横尾涼

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