親として、作り手として選ぶいまの暮らし|森 理加さん(Ripour)
「本当においしいデカフェコーヒーを届けたい」
私たちはそんな思いから、ローカルに根付くコーヒースタンドを目指しています。
地域のコミュニティ、デカフェのコーヒーを日常的に飲む方々、そして私たちメンバーの身近な方々…さまざまな「ローカル」のコミュニティに根付き、長く愛されるお店になりたい。そんな思いからこの連載をスタートしました。
本企画では、私たちにとってローカルなみなさまとともに、デカフェのある暮らしや、ひいては生活の豊かさについて考える場にしていきたいと思います。
第四回目にご登場いただくのは、フラワーデザイナーの森 理加さんです。
ウェディング業界で働く傍ら、花の先進国であるオランダの国家資格「Dutch Flower Arrangement(ダッチフラワーアレンジメント)」を取得し、2024年8月に自身のブランド「Ripour(リプア)」を立ち上げ活動する森さん。
お花を職業にするまでの道のりや今後のビジョン、子育てと仕事の両立について伺いました。
聞き手は「de. coffee roasters」代表の古賀 裕人。
親として、作り手として。自分らしい暮らしの選び方について、じっくり伺いました。
花への思い。ブランド立ち上げまでの道のり

古賀:今日はよろしくお願いします。森さんとはご縁があってちょうど1年前から店の装花をお願いすることになりましたが、ブランドの立ち上げ自体はどれくらいの時期だったのでしょうか。
森さん:「Ripour(リプア)」は2024年8月からですね。ウェディング系の会社を退職してフリーランスになるタイミングで立ち上げました。
古賀:いきなりブランドを立ち上げるのはすごいですね。花業界はウェディングとはまた違う世界かと思いますが、踏み出したきっかけはありますか。
森さん:母が家にいつもお花を飾っていたのもあって、物心ついた頃から花が好きでした。小学校の図書室で花の図鑑を見て、自分のノートに花の絵や名前を写したりもしていましたね。
古賀:子どもの頃からなんですね。
森さん:それから大学生の時に、花業界に進むかどうかで悩んでいた時期もありました。その頃にたまたま出会った方が、フリーランスのお花屋さんだったんです。その方に憧れを抱いて「自分もいつか花を扱う仕事に就きたい」と思うようになりましたね。

古賀:「フリーランスのお花屋さん」は、いわゆる街のお花屋さんとどのような違いがあるのでしょうか。
森さん:私が出会った方は、自分で仕入れたお花を自宅兼アトリエで保管しながら、アレンジメントなどの制作をして納品する方でしたね。
就職のタイミングでは、もう一つの憧れだったウェディングの道に進みましたが、退職するタイミングで、やっぱりお花に関わる仕事をやってみたいと思いました。
仕事をしながらお花のスクールに通う生活をして、オランダの国家資格のダッチフラワーアレンジメントも取得していたので、その技術を活かせるなと。スクールでは繊細な生花を扱う技術を学びました。
古賀:なるほど、そういう背景があったんですね。

森さん:他にも、自分が結婚式をした時にブーケで使いたかったお花を時期じゃないから仕入れられなかったこともあって。造花であれば、いつでも好きなお花を扱えるという魅力もありますね。
昔は「いかにも造花」みたいなものばかりでしたが、今はすごく綺麗なものが増えていて。遠目で見ると見分けがつかないようなものもあるんです。そういうものを使って造花だからこそできるものを作っていきたい、そんな風に思っています。

古賀:ブランド名の由来はありますか。
森さん:「リプア」はチューリップの「リプ」と「注ぐ」という意味の「プア(Pour)」を合わせて作ったブランド名なんです。チューリップの花言葉に「思いやり」という意味があるので、「お花を通して思いやりを注ぎ込む」という思いを込めてこの名前にしました。
実はこのブランド名を使い始めたのは約10年前なんです。当時は「L」からはじまる「リプア」という名前で、本業のかたわら副業としてドライフラワーやプリザーブドフラワーのアイテムを作り、オンラインで販売していました。
改めて花をメインの仕事にしようと決めたとき、新しいブランド名にしようとは思わなくて。ずっと使ってきた「リプア」をそのまま引き継ぎたかったんです。私自身の名前が「リカ」というのもあって、頭文字を「L」から「R」に変えて「Ripour」として再出発しました。
子育てと仕事のバランスについて

古賀:ブランドを立ち上げて以来、仕事と育児を両立していると思いますが、会社員時代と考え方は変わりましたか。
森さん:独立前に所属していた会社は社員4人くらいのベンチャーで、平日は夜遅く、土日も働いたりしていました。私自身、働くのが好きだったのもあって、子どもが生まれても、自分はそのまま変わらないだろうなと思っていたんです。
でもいざ生まれてみたら、目の前のこの命を守らなきゃいけないですし…想像以上に重みがありましたね。色んな葛藤を抱えながら過ごした時期もあったんですが、人生を長期的に考えた時に、「私がやりたい仕事は今じゃなくてもできるな」と思ったんです。

森さん:子どもとの時間はやっぱり今しかないですから。その時間を大事にしたいという気持ちが強いです。独立したことで、タイムマネジメントがすごく難しいなと思うこともあるんですけど、自分で全部コントロールできるところが、魅力的だと思います。
フリーになったことで、子どもの思いを聞いてあげられるようになって、焦りがなくなり気持ちにゆとりが生まれましたね。
古賀:僕も森さんと同じ時期に第一子が生まれていて、会社を立ち上げたばかりの時期でした。その頃はコロナ禍だったので、在宅で子育てはしやすかったのかもしれないですね。
それから森さんと同じく、子どもが生まれるまでは仕事ばっかりしていたんですけど、優先順位は完全に変わりましたね。昔はそれこそ、土日も仕事する計算で全体を組み立てていたんですけど、今はやっていない。というか、土日は基本的には仕事はしないと決めているので。
森さん:わかります。今は、de.coffee roastersに飾っているようなお花の制作やブライダルブーケを作っているんですが、なるべく子どもが寝ている時間や夜、もしくは朝早く起きた時に、子どもに支障がないタイミングで作業しています。後から振り返った時に、もっと子どもとの時間を大事にすればよかったと思いたくないんです。

古賀:きっと大きくなったら、子どもとの時間って取れなくなるじゃないですか。だから僕も今は子ども優先ですべての物事を考えようって思っています。
森さん:子どもと一緒に過ごせる時間、意外と短いですよね。
古賀:あっという間なんだろうなと思いますよね。

古賀:今後、活動を続けていく上でビジョンはありますか。
森さん:そうですね。今はお花がメインですけど、ゆくゆくはウェディングの色んなアイテムのブランドをやりたくて。ベールやグローブのデザインもやっていきたいと思っています。「R design」のように、全部のブランドに「R」から始まるブランド名をつけたりするのもいいかなって。
この写真は前にやっていたブランドのドライフラワーで作ったものなんですけど。今ならアーティフィシャルフラワー(造花)でもこういうものも作れますし、コップに飾ったり壁に吊るしたりしても可愛いんです。

古賀:いいですね。僕たちはローカルに根付くコーヒースタンドでありたいと考えていて、身近な方々とともにお店を育てていけたらと考えているんです。店舗の装花以外でも、また何かご一緒できたら嬉しいです。新しい企画、ぜひやりましょう。
森さん:そう言っていただけると嬉しいです。私自身、花を通じて人と場所がつながっていく瞬間がすごく好きで。de.さんのお店にはそういう空気があると感じていたので、今回ご一緒できて光栄でした。またいつか、新しい形でご一緒できたら嬉しいです。

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